映画『パラサイト半地下の家族』は見た後も楽しめる映画というところが非常に素晴らしいと思っています。
見た後に、考察を読み漁っている方も多いのではないでしょうか?
さて、そこで映画『パラサイト半地下の家族』に関して、考察をしてみたいと思います。
パラサイトの韓国の原題は寄生虫(기생충)。
では誰が誰の寄生虫なのでしょうか?
また金持ち家族である朴社長一家の息子ダソンが地下の男からのモールス信号に気づいていたのに助けなかったのはなぜなのでしょうか?
映画を見てない方は先を読まないことをオススメします。
目次
映画『パラサイト半地下の家族』考察 原題寄生虫の意味は?
さて、映画『パラサイト半地下の家族』の韓国の原題寄生虫の意味を考察する前に、実は韓国では寄生虫ではなく違うタイトルだったということはご存知でしょうか?
元のタイトルは『ロールシャッハ』だったようです。
これはポン・ジュノ監督がインタビューで語っています。
″조던 필 감독의 ‘어스‘는 아직 보지 못했습니다. 하지만 예고편에서 매우 흥미로운 부분이 있었습니다. 그건 ‘로르샤흐‘(Rorschach)의 이미지였습니다. 사실 ‘기생충‘의 제목이 원래 ‘로르샤흐’였습니다.”
(ジョーダン・ピール監督の映画『アス』を私は見ていません。ですが、予告編を見て非常に興味深いシーンがありました。それはロールシャッハのイメージでした。実はこのパラサイトのタイトルは元々ロールシャッハだったのです 翻訳管理人ジョーカー)
「ロールシャッハってなに?」
って思ったかと思いますが、ロールシャッハとはスイス出身の精神医学者、ヘルマン・ロールシャッハが考え出した性格検査の方法の一つです。
ロールシャッハ・テストとはこんな左右対称のインクの染みが何に見えるかをみるテストのことです。
このテストでふだん意識していない心の奥深い部分がわかるようです。
というのも、この映画『パラサイト半地下の家族』の構想初期の段階のテーマがデカルコマニーでした。
「デカルコマニーなんて初めて聞くんだけど・・・」
なんて方が多いかと思いますが、、、
デカルコマニーとは、絵の具を塗りつけた紙を半分に折って、もしくは別の紙をのせて、絵の具を転写させる方法のことです。
こんな絵ですね。
デカルコマニーも、ロールシャッハも共通しているのは対比。
おわかりかもしれませんが、この映画『パラサイト半地下の家族』も金持ちと貧乏の対比になっていますよね。
ただ、ロールシャッハではここまで世界的に大ヒット作にはならなかったでしょう。
さて、この原題の寄生虫ですが、御存知の通り、キムギテク一家は朴社長一家に寄生しました。
最初は、息子のキムギウが家庭教師に
次は、娘のキムギギョンが美術の先生に、
さらに、父親のキムギテクが朴社長の運転手に、
そして最後は母親のチュンソクは家政婦に。
徐々に寄生していく展開は見事なものでした。
誰から見ても、朴社長家族に寄生しているのはキムギテク一家ですよね。
ただもう一家族朴社長一家に寄生している家族がいましたよね。
少々ネタバレになりますが、元家政婦ムングアン夫婦です。
映画を見てない方は、夫の存在がどこで明らかになるか楽しみにしていてください。
まさにあの男こそ寄生虫でした。
朴社長は自分が知らない男から
「リスペクト!」
と言われるわけですからね。
朴社長のおかげで生きていられると感謝していたのは間違いありません。
だから、朴社長の知らないところで寄生していたあの男こそ、まさに寄生虫。
一方で、朴社長一家も寄生虫と言えるのではないかと考察します。
朴社長一家は運転手や家政婦、家庭教師がいないと生活すらできない状態です。
特に朴社長夫人であるヨンギョは料理もできませんよね。
おそらく家事全般ができないお嬢様なのでしょう。
息子のダソンも娘のダヘも家政婦や家庭教師に依存しています。
つまり、朴社長一家も貧乏な人に寄生していて生きているということになります。
確かに誰にも依存しないで生きている人はいません。
依存と寄生はまた意味が違いますが、会社に寄生しないと生きていけないサラリーマン、家族に寄生しないと生きていけない父親、子供に寄生ないと生きていけない母親、親に寄生しないと生きていけない子供などなど。。。
この世の中は寄生で成り立っているといっても過言ではありません。
だから、ポン・ジュノ監督は誰もがなりうる寄生虫になるのではなく、自立する意識を持つべきということを映画を通して伝えたかったのではないでしょうか。
<追記>
もう一つ大事なことに気づきました。
それは、この映画を見た人がこの映画に寄生してしまっていることです。
少なくても私は映画を見終わったときから、いや見る前から、この映画『パラサイト半地下の家族』のことばかり考えてしまっています。
つまり私自身がこの映画に寄生してしまい、寄生虫と化してしまっていました。
ポンジュノ監督に私は寄生させられてしまったのでしょう。
さて、映画『パラサイト半地下の家族』を見て、朴社長の息子ダソンはあの地下の男のモールス信号に気づいたのになぜ助けなかったの気になりましたが・・・
映画『パラサイト半地下の家族』考察 ダソンがモールス信号に気づいたのに助けなかった理由は?
あの男が地下から発したモールス信号の信号にダソンは明らかに気づきました。
でも、行動を取ることはしませんでしたね。
それはなぜなのかを考察してみます。
そもそもダソンは地下の男の存在を知っていたのでしょうか?
おそらく薄々感づいていたと思っています。
4年前冷蔵庫の前でケーキを食べていたときに、地下からの這い上がってきた男に遭遇したダソン。
母親のヨンギョは、幽霊と思い違いしていましたが、ダソンは決して幽霊と思っていなかったのでしょう。
その証拠に、ダソンが描いた絵に下から上への矢印が描かれています。
しかも右下には黒く塗りつぶされていますよね。
これは黒い地下から這い上がってきた男を表しているのです。
ヨンギョはダソンの自画像と言っていましたが(笑)
子供の気持ちにもっと寄り添ってあげていれば、あんな悲劇は起きなかったのでしょうね。
さて、豪雨でキャンプが中止になった日、朴社長一家に寄生していたキムギテク一家の正体がバレてしまいます、元家政婦夫婦に。
ここはコメディーチックな印象があり、見どころの1つですが。
キムギテク一家はうまく朴社長の家から逃亡を図った後、あの男が地下から電気とつけたり、消したりしてモールス信号で助けを呼びました。
ダソンはメモにHELPと書いていたので、地下から助けを呼んでいることに明らかに気づいていました。
ダヘがダソンはバカなふりをしていると言っていましたからね。
ボーイスカウトでモールス信号を習っていたため、あの男が発したメッセージを読み取ることができたのでしょう。
普通なら、父親や母親に
「なんか助けを呼んでいる人がいるよ」
と言うでしょう。
だけど、ダソンはなにもせず。
ではなぜダソンは行動をしなかったのでしょうか?
ダソンは行動を取らなかったのではなく、あえて行動しなかったと考察しています。
この映画のテーマでもある、金持ちと貧乏人の対比。
映画にも度々出てくる「線を越えてはいけない」というセリフがまさにこのシーンに象徴していたのではないでしょうか?
ダソンがここで地下の男からのメッセージを父親や母親に伝えれば、線を越えてしまう。
それを無意識に考え、行動しなかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
また金持ちは貧乏人に寄生しているにもかかわらず、存在すら気づきません。
むしろ存在を見ないようにしています。
ダソンだけは、キムギテク一家から放たれる臭いが一緒であることに感づきました。
そして、モールス信号で地下の男からのメッセージにも気づきました。
けれど、あえて見ないようにしてしまったダソンに対して、金持ちの特性がすでに備わってしまっている危機感を感じます。
実は映画では、
영어 자막을 달 때 그 부분에서 등장하는 자막이 ‘H,O,L,P’ 이런 식으로 나옵니다. ‘HELP’를 잘못 받아쓰는 거죠.” (봉준호 감독)
とポン・ジュノ監督が言っているように、H,O,L,Pとメモしていました。
(英語字幕をつけるときに、このシーンで登場する字幕はH,O,L,Pというふうに表示されます。HELPを間違えて書いてしまったのでしょう 翻訳管理人ジョーカー)
なので、ダソンはなにかわからなかったという説もあります。
映画『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ(ネタバレ)は?
映画『パラサイト 半地下の家族』はこんな映画です。作品情報とあらすじ(ネタバレ)をご覧ください。
作品名 | パラサイト 半地下の家族 |
製作国 | 韓国 |
公開日 | 2020年1月10日(金) |
監督 | ポン・ジュノ |
脚本 | ポン・ジュノ ハン・ジヌォン |
出演者 | ソン・ガンホ チェ・ウシク パク・ソダム |
主題歌 | |
上映時間 | 132分 |
あらすじ(ネタバレ) | 韓国映画初の「第72回カンヌ国際映画祭」最高賞パルムドールを受賞作。半地下に暮らす全員失業中の家族だが、長男ギウがIT企業のCEOを務めるパク家に家庭教師とし豪邸に住むことになったことで、予想外の悲喜劇が繰り広げられる。結末が全く読めないブラック・コメディ映画 |
映画『パラサイト半地下の家族』考察 寄生虫の意味とダソンの行動まとめ
映画『パラサイト半地下の家族』は見てからも、色々考察ができるのが魅力の1つです。
見方や捉え方は、人それぞれです。
私はこのように考察しましたが、あなたはどのように考察しましたか?
ぜひご意見をお聞かせください。
こちらの考察もぜひ読んでみてください。
ロケ地もまとめてみましたので、どうぞご覧ください。
もしまだ映画を見てない方はぜひ映画『パラサイト半地下の家族』を見て一緒に考察して、楽しみましょう。
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